メモリ4GBなら必須、8GB以上でも必要! 簡単チューンアップ

 Windows 10では、ブラウザ、メーラ、ワード、エクセル等のアプリを同時起動する一般的なオフィスでの使用状況で6GB程度の記憶領域を使用します。メモリが4GBしか搭載されていない機種では、メモリに乗りきらずに低速なストレージに追い出される1GB以上のプログラムあるいはデータのアクセスが滞りがちとなり体感性能低下の要因になります。このため、最近ではメモリ8GB搭載がWindowsマシンの標準となりつつあります。

 しかし、実は、この6GB程度使用する記憶領域(コミット済みメモリ量)の1.5GB近くは、大半のユーザには不要な機能、サービス提供のためのもので、ほとんどぜい肉ともいえるものです。従って、この不要なぜい肉を落とすことができれば、コミット済みメモリ量を4GB程度かそれ以下に抑えることができます。抑えきれずに4GBしかないメモリ容量を超えたとしても、その超える量が1GBを下回る程度であれば、ストレージへの追い出しが使用頻度の低いものに限定できます。その結果として、メモリ容量が4GBのマシンでも低速なストレージへのアクセス頻度が大幅に減り、目立つほどの性能低下は起こらなくなります。

 このぜい肉を落とすのが、以下で示すチューニング(以下、より適切な表現のチューンアップを用いる)の主な目的ですが、その実施は、かなり簡単です。また、このチューンアップは、メモリだけでなく、CPU内キャッシュへの負担も軽減されるためか、その効果は、メモリを8GB以上搭載しているマシンでも動作の軽快化がはっきり体感できる程度と、小さくはありません。従って、搭載メモリの多少に関わらず、使い始めの段階での実施を強くおすすめします。


1.Windowsの軽量化

 不要バックグラウンドアプリの停止、透明・アニメーション効果のオフ、パフォーマンス優先などの設定の変更を行うだけです。不要バックグラウンドアプリの停止以外については、Windows10軽量化設定ユーティリティを用いると、チェックしてクリックするだけの簡単な操作で設定できます。不要バックグラウンドアプリの停止については、Windows 10 を高速化!効果の高い簡単な5つの設定を参照ください。


2.ブラウザの高速化

 比較的簡単にできて、そこそこの効果を得られるのが、高速化に効く拡張機能(アドオン)のブラウザへのインストールです。容量4GBとメモリに余裕のないマシンでは、メモリ使用量低減技術で一歩進んでいるマイクロソフトのChromium版新Edgeに乗り換えるのも有効です。

(1)アドオンの整理と広告ブロックアドオン追加

 アドオンはブラウザの利便性を増す一方、ブラウザの応答性を低下させる要因ともなります。使用頻度の低いアドオンは停止させ、試しに入れただけになっているものはすべて削除します。そして、代わりに高速化に効くアドオンを追加します。高速化に最も効果的と言われているのは広告ブロックのアドオンです。もともと広告の表示をブロックすることが目的のアドオンですが、表示に時間のかかる広告が非表示となる分、全体の表示が高速化されます。

 広告ブロックのAdblock Plus、uBlock Origin、ghosteryの有名どころの中で、格安軽量ノートに1番のおすすめが uBlock Originです。広告ブロックの効率がDuckDuckGo Privacy Essentialsに次いで高く、CPU負荷とメモリ消費が抑えらるので、CPU、メモリに余裕のない格安軽量ノードでも、広告ブロック無しのCore i7搭載機並みの速度が得られるようになるからです。このuBlock Originには、残念ながら、アクセス先のWebサイトからのブラウジング履歴追跡を抑止するトラッキング防止機能までは入っていません。しかし、Chromium版の新Edgeならば、悪意のあるページのブロック機能(SmartScreen)に加え、実効性のあるトラッキング防止機能が追加されているので問題ありません。このuBlock Originに対し、2番目のおすすめのghosteryは、広告ブロックに加え、トラッキング防止機能を併せ持っています。CPUへの負荷も小さく、トラッキング防止機能が実質ないに等しいChromeや旧Edgeに向いたアドオンと言えます。

(2)高速化専用アドオンFastr

 アドオンの中には、高速化自体を目的としたものがあります。Fastrは、その代表的なもので、Chromeや新Edge用のアドオンで、Webサイトの再読み込み時に余分なデータのやり取りをカットする ことで表示を高速化してくれます。もっとも、再読み込みボタンをクリックしないと表示されなくなるページがかなりの割合存在しますので、かえって煩わしくなるかもしれません。

(3)Chrome/新Edgeにおけるアドオンのインストール方法

 右上の[…] をクリックして [設定] をクリックします(注:[…] は横列ではなく縦列)。 次いで左側に現れる設定メニューの中の下の方の拡張機能をクリックします。さらに左上すみに現れる漢数字三相当の3本線をクリックします。左側に現れるメニューの一番下のChromeウェブストアを開きますをクリックします。左上の ストアを検索 に検索対象のアドオンの名称を入れてEnterキーを押してから、目的のアドオンがリストされたら、右側のChromeに追加をクリックします。以後、指示に従うことで、インストールを完了させることができます。


3.不要なプログラムのアンインストール/無効化

 新品のパソコンには使わないプログラム(アプリ)が、特に国産ブランドには多数、インストールされています。これは、メモリ圧迫の要因となりますので、Windowsの設定のアプリを開き、使い始めの段階で、不要なアプリはすべて徹底的に削除しておくと良いでしょう。インストールしたものの使わないアプリが、使うかもしれないとして放置されがちですが、結局使わないことの方が多いので、容赦なくアンインストールすべきです。

 また、常駐プログラムも、起動時間増やメモリ圧迫の要因となりますので、必要最小限にすべきです。これは、Ctrl、Alt、Deleteの3つのキーを同時押下して、タスクマネージャを選択起動し、その中のスタートアップタブでそれぞれのプログラムの起動指定の有効を無効に切り替えることで行えます。


4.不要な機能/サービスの無効化

 標準装備の機能/サービスの中には、個人では使わない機能/サービスが多数含まれ、それらがメモリーを圧迫する要因となっています。

  この不要な機能については、windowsの機能の有効化または無効化のウインドーのリストのチェックをはすずことで簡単に無効化できます。このチェックリストのウインドーは、Windowsキー と Rキーを同時押下によりファイル名を指定して実行のウィンドウを開いて、テキストボックスにOptionalFeaturesと入力し、OKボタンをクリックすることで開けます。不要機能の詳細については、例えば【軽量化】Windows10の重さを解消!不要機能を無効化する方法を参照ください。

 不要なサービスについても、Windowsキー と Rキーの同時押下によりファイル名を指定して実行のウィンドウを開いて、テキストボックスにservices.mscと入力し、OKボタンをクリックすることで開かれるサービスのウインドーで対象サービスを右クリックしてプロパティを開き、スタートアップの種類を無効あるいは手動に変更することで無効化あるいは手動化できます。しかし、不用意に必要なサービスまで無効化するとWindowsが起動不能に陥ることもあるので、その変更操作には細心の注意が必要です。もっとも、次節で紹介するSystem Mechanicを利用すれば、CPUパワーが必要な時にだけサービスを最大限止めて実効性能を高めることができます。具体的には、System Mechanicを開き、ActiveCareでOn-demand Boostをオンすると共に、LiveBoostのOn-demand Boostで On-demand Boostの調整 を高にして、常時停止不可のサービスのチェックを外すだけです。もし、動作不良を来すようなことがあれば、On-demand Boostの調整 を低に設定します。それでも、回復しない場合は、ActiveCareでOn-demand Boostをオフにします。なお、無効化、手動化が可能な対象サービスについては、例えば、【2020年最新】Windows10 不要サービス停止で高速化・軽量化!にまとめられています。


 ここまでの1.,3.,4.の軽量化設定をWindows 10 Homeで、すべて行えば、起動時のメモリ使用量は、画面解像度がフルHDで、3GB以下、FWXGAで2.5GB以下くらいにまで下がるはずです。メモリの実際の使用量は、Ctrl、Alt、Deleteの3つのキーを同時押下後、クリックにより起動するタスクマネージャのパフォーマンスタブのクリックし、さらに左側のメモリをクリックして開くメモリの使用状況のコミット済みの左側の値です。もし、3ないし2.5GB以下にまで下がっていない場合は、経験上、3.の不要なプログラムのアンインストールが不十分な可能性が高いでので、再度、不要なプログラムを探し出し、思い切ってアンインストールください。


5.常駐ソフトの競合検知とその解消

 1.~4.までのチューンアップを済ませれば、購入時と同等か、それ以上に動作が軽快になるはずです。もし、そうならないのなら、サービスやスタートアップ等の常駐ソフトが競合して速度低下を来たしているのかもしれません。是非、以下の競合の検知・解消を試みてください。

 常駐ソフトの競合は、常駐を最小限に抑えて競合ソフトが起動しないクリーンブート時に、動作速度改善が生じることで検知できます。この競合問題は、クリーンブート後に元の状態に戻して再起動し直すだけで解消される場合がありますので、まず、それを試してみてください。それでも、競合が解消されない場合には、クリーンブートの状態から常駐を半分ずつ追加することで動作速度低下が体感されるか否かを繰り返す絞り込みで、最終的に競合している常駐ソフトを特定して取り除きます。


6.Windows Defenderの暴走検知とその解消

 ここまで来ても、購入時と同等か、それ以上に動作が軽快にならないのなら、5.によってもWindows Defenderとの競合あるいはそれ自体の暴走が止められていない可能性があります。この場合には、Windows Defenderの検索対象から自身を除外設定することにより自分自身が繰り返し検索されることを止めれば解消されることがあるので試してみてください。5.を飛ばしても、この除外設定だけで動作速度が顕著に改善されることもありますが、Windowsの標準では除外しないことになっており、セキュリティ耐性が全く低下しないとは言いきれないので、まずは5.を先に試すようにしてください。


7.Windowsの本格チューンアップとその自動化

 Windowsは使い続けるうちに次第に応答速度が低下していきます。この性能低下は、アプリのインストールし過ぎ、あるいはそれに伴う常駐アプリの増え過ぎに加えて、システム関連あるいはインターネット関連の不要なデータが蓄積・肥大化することによって生じます。これらは、システムのクリーンアップにより抑えられますが、すべてを尽くそうとすると、かなり煩雑になるので、自動化に向けた専用のユーティリティプログラムが各社から提供されています。フリー版も Glary Utilities、AVG TuneUp、CCleanerなどがありますが、有料版にある重要な機能が提供されておらず、効果は限定的です。また、フリー版の中には、アドウェアやマルウェアもどきが組み込まれていることも少なくないので、もし試される場合は、ダウンロードしたファイルは、必ず、Virustotalのサイトで検査して、マルウェア等が含まれていないことを確認することを強くおすすめします。

 このようなフリーウェアに仕込まれる悪巧みを心配する必要のない有料版には、システムのクリーンアップに加え、計算資源を指定分野のアプリに集中させて、実効性能を改善する機能まで備えたものがあります。その代表的なチューンアップユーティリティが全米で8000万インストールを獲得しているSystem Mechanicです。計算資源を指定分野のアプリに集中させることで実行性能を上げることができます。ベンチマークスコアの向上は数%程度とわずかですが、1.、3.、4.のチューンアップと合わさるのが効いているのか、Toshiのマシンでは使用前に比べが応答性が大きく改善され、購入時以上にキビキビと動くようになっています。一度インストールし、設定を終えればと定期的に自動でクリーンアップしてくれるので手間いらずですので、是非、試されることをお勧めします。PC Magazineのレビューページ からならば、1年間更新料込で15ドル(1600円)ほどと、わずかな負担で購入できます。インストール、使用法等についてはオンラインヘルプを参照ください。ただし、Bitdefenderなど一部のウイルス対策ソフトとは共存できない点に注意が必要です。

0コメント

  • 1000 / 1000

軽量ノートパソコンの選定から、整備補強、セキュリティ強化、通信費削減まで

忖度レビューから、大半のユーザに無用な性能の強調、性能スコアの不適切参照、フリーウェアの過小評価まで、 パソコン界に蔓延る買い煽り、高額化誘導を、パソコン歴40年以上のToshiが暴く!?